前回は「苦痛より喜びで売る」という、新しい考え方をお伝えしました。
「なるほど、喜びで売る方がいいのはわかった。でも具体的にどう書けばいいの?」
そんな声が聞こえてきそうですね。
今日は、誰でも使える魔法の公式「3Pの公式」をご紹介します。この公式を使えば、お客様の心に自然と響く文章が書けるようになります。
まるでケーキの作り方のように、順番通りに材料を混ぜるだけで、美味しい文章ができあがります!
前回のおさらい:なぜ「喜び」で売るのか
「苦痛」と「喜び」、2つの動機づけの違い
前回お話ししたように、人を動かす方法は2つあります。
苦痛から逃れたい気持ち と 喜びを得たい気持ち です。
例えば、同じダイエット商品でも:
苦痛アプローチ:「このままだと健康診断で引っかかりますよ!今すぐ対策を!」
喜びアプローチ:「朝起きるのが楽しみになる、軽やかな毎日を始めませんか?」
どちらも同じ商品を紹介していますが、読んだ時の気持ちはまったく違いますよね。
長期的な関係構築に必要な信頼の要素
お店と長くお付き合いしたいと思うのは、どんなお店でしょうか?
「この人は私のことを本当に考えてくれている」 「この人と話すと元気になれる」 「この人のアドバイスは役に立つ」
そう感じるお店ですよね。
こういった信頼関係を築くには、「喜び」をベースにした対話が欠かせません。毎回のLINE配信が、お客様にとって「開くのが楽しみ」と思ってもらえるものになれば、自然と長いお付き合いになっていくのです。
心に響く文章の秘密「3Pの公式」とは
成功するセールスレターはなぜ同じ構造なのか
実は、世界中で反応の良い手紙やメッセージには、ある共通のパターンがあることがわかっています。
それは映画やおとぎ話と同じです。良い物語には「起承転結」があるように、人の心を動かす文章にも、ある決まった流れがあるのです。
たとえば、昔からのおとぎ話は:
- 主人公の日常(起)
- 問題の発生(承)
- 冒険と解決(転)
- 幸せな結末(結)
という流れがありますよね。
心を動かす文章にも、同じように効果的な流れがあるのです。
公式の全体像:Promise→Proof→Price
その流れが「3Pの公式」です。
- Promise(約束):「こんな素敵なことが実現します」
- Proof(証明):「それは本当に可能です。証拠があります」
- Price(価格):「このような形で始められます」
たとえば、子どもに好き嫌いがある場合…
想像してみてください:
母親:「このニンジン食べると、うさぎみたいにぴょんぴょん跳べるようになるよ!(Promise)」 子ども:「ほんと?」 母親:「ほら、うさぎさんはニンジンをいっぱい食べてるでしょ?あんなに速く走れるんだよ(Proof)」 子ども:「へー!」 母親:「一口だけでもいいから食べてみる?(Price)」
なんとなくイメージできましたか?
LINE配信でこの公式を使うメリット
LINEは文字数も限られていますし、読み手も急いでいることが多いです。
だからこそ、「3Pの公式」のように明確な流れがあると、メッセージが伝わりやすくなります。
読み手は無意識のうちに「次は何が来るんだろう?」と予測しながら読むので、自然と最後まで読んでもらえるのです。
ステップ1:約束(Promise)の作り方
お客様の「夢」を言語化する技術
約束とは、「あなたの夢が叶いますよ」と伝えること。
でも、ただ「素敵になります!」と言っても、具体性がなければ心に響きません。
お客様が本当に望んでいることを具体的に言語化することが大切です。
例えば「痩せられます」ではなく「階段を駆け上がっても息切れしない健康な体になれます」と書く方が、ずっと具体的で心に響きますね。
効果的な約束の5つの条件
効果的な約束には、次の5つの条件があります。
1. 具体性 「良くなります」ではなく「3週間で○○のように変わります」
2. 達成可能性 信じられないような大げさな約束ではなく、「これなら実現できそう」と思える現実的な約束
3. 感情的つながり 「その結果、あなたはこんな気持ちになれます」という感情面の変化も伝える
4. 独自性 他のお店とは違う、あなたのお店ならではの特徴を含める
5. 共感性 「あなたも○○で悩んでいませんか?」という共感から始める
業種別・約束文例集
それでは、実際の文例を見てみましょう。
美容院の例: 「梅雨の湿気でまとまらない髪にさようなら!たった1回のトリートメントで、朝のセットが10分短縮。忙しい毎日でも、思わず鏡を見たくなるような艶髪が手に入ります。」
カフェの例: 「仕事の合間に、ちょっとした贅沢時間を。今週登場の季節限定パフェは、一口で広がる初夏の香り。日常を忘れて笑顔になれる、あなただけの特別な時間をお届けします。」
習い事教室の例: 「『私には無理』と思っていた楽器演奏。実は60分×3回のレッスンで、あなたの好きな曲が弾けるようになります。音楽の楽しさを知ると、毎日がもっと豊かに彩られますよ。」
いかがですか?どれも「こうなったらいいな」という夢や希望が具体的に描かれていますね。
ステップ2:証明(Proof)の組み立て方
なぜ約束だけでは不十分なのか
さて、素敵な約束ができたとしても、それだけではまだ不十分です。
なぜでしょう?
それは、人間には生まれながらに「本当かな?」という疑い深さがあるからです。
子どもに「お片付けしたらご褒美あげるよ」と約束しても、「本当にくれるの?」と不信感を持たれることがありますよね。
大人も同じです。「本当にその効果があるの?」「言っていることは本当?」という疑問が自然と湧いてきます。
この疑問に答えるのが「証明(Proof)」の役割です。
信頼を構築する8つの証明方法
証明には、次の8つの方法があります。
1. 社会的証明 「たくさんの人が選んでいます」「○○さんも使っています」
2. 権威からの推薦 「専門家の○○先生も推薦しています」
3. 科学的根拠 「○○大学の研究でも効果が確認されています」
4. 実績の提示 「これまで500人以上のお客様に喜んでいただいています」
5. 保証の提供 「満足いただけない場合は全額返金します」
6. デモンストレション 「実際にやってみるとこんな風になります」
7. ストーリーテリング 「あるお客様は、こんな風に変わりました」
8. 論理的説明 「なぜこれが効果的かというと…」
これらのうち、LINEで使いやすいのは、「社会的証明」「実績の提示」「ストーリーテリング」の3つです。
LINE配信で使いやすい証明のパターン
社会的証明の例: 「先週ご紹介した新メニューは、おかげさまで3日で30名の方にご予約いただきました。『こんなに肌が変わるなんて!』と、皆さんに喜んでいただいています。」
実績の提示の例: 「昨年から始めたこのコースは、リピート率98%!一度体験された方の多くが、定期的に通ってくださっています。」
ストーリーテリングの例: 「先日、60代の田中さんが初めてレッスンを受けられました。『こんな年でも始められますか?』と不安そうでしたが、3回目のレッスンで早くも簡単な曲が弾けるように。『もっと早く始めればよかった』と笑顔で話してくださいました。」
証明をする際に大切なのは、「嘘をつかないこと」です。実際にあった出来事や、本当の数字を使いましょう。小さな実績でも、誠実に伝えることが信頼につながります。
ステップ3:価格(Price)の伝え方
価格を「投資」として伝える言葉選び
「価格(Price)」と聞くと、単に「いくらですか?」という金額の話に聞こえるかもしれません。
でも、ここでの「Price」は、「お客様に求める行動」という意味合いが強いのです。
例えば:
- LINE登録をお願いする
- 店舗に来てもらう
- 予約をしてもらう
- 友達に紹介してもらう
などの行動も含まれます。
ここで大切なのは、価格を「コスト」ではなく「投資」として伝えること。
コスト表現: 「5,000円のコースです」
投資表現: 「5,000円の投資で、毎日の疲れを解消できます」
後者は「5,000円を支払うことで、それ以上の価値が返ってくる」というメッセージが含まれていますね。
行動を促す7つのテクニック
行動を促すには、次の7つのテクニックが効果的です。
1. 価値の再強調 「このレッスンを受ければ、周りの人を驚かせる演奏ができるようになります」
2. リスクリバーサル 「初回は無料でお試しいただけます」
3. 希少性の演出 「期間限定の特別コースです」
4. 支払いオプション 「分割払いもご用意しています」
5. 比較優位性 「通常のコースより20%お得です」
6. 行動指示の明確化 「下のボタンから今すぐご予約ください」
7. 緊急性の創出 「先着10名様限定です」
ここで注意したいのは、「緊急性」や「希少性」は事実に基づいて使うこと。嘘の緊急性は信頼を損ねます。
「今日だけ」と言っておきながら、翌日も同じ内容を流すと、お客様は「いつも今日だけって言ってるよね」と不信感を抱きます。
お客様を尊重した締めくくりの言葉
最後は、お客様を尊重した言葉で締めくくりましょう。
「急かしているわけではありません」「ご検討ください」という言葉を添えると、押し付けがましさが減ります。
例: 「この機会にぜひお試しください。もちろん、ご検討の時間は十分におとりください。どんな小さなご質問でも、お気軽にお聞きくださいね。」
こうした一言で、「選ぶのはあなた」という姿勢を示すことができます。
3Pの公式を使った完成テンプレート
さて、これまでの3Pの公式を組み合わせて、完成形を見てみましょう。
美容院向けテンプレート
【約束(Promise)】 「梅雨の湿気でまとまらない髪にお悩みではありませんか? 当サロンの『シルク艶髪トリートメント』なら、たった60分で扱いやすい髪に変身! 朝のセット時間が半分になり、一日中美しい髪が続く喜びを体験してください。」
【証明(Proof)】 「先月から始めたこのトリートメントは、すでに50名以上の方に体験いただき、リピート率95%の大人気メニューです。 『初めて朝のセットが楽になった!』『雨の日でもサラサラが続く』と、特に髪の広がりにお悩みだった方々から喜びの声をいただいています。」
【価格(Price)】 「通常8,800円のところ、LINE読者様限定で6,600円でご体験いただけます。 さらに初回の方には、自宅でのケア方法をまとめた小冊子もプレゼント。 6月中の平日限定、先着20名様のご案内です。 ご予約はこちらのリンクから。もちろん、ご検討の時間はゆっくりおとりください。」
飲食店向けテンプレート
【約束(Promise)】 「暑い夏の午後、ほっと一息つける特別な時間を過ごしませんか? 今週から始まる『夏のひんやりアフタヌーンティーセット』は、見た目も涼やかな夏限定スイーツの数々。 友達との楽しいおしゃべりや、ひとりの贅沢時間に、心まで冷やすひと時をお届けします。」
【証明(Proof)】 「昨年の夏メニューは『インスタ映えする!』と口コミで広がり、連日満席をいただきました。 今年はさらにグレードアップ!パティシエの田中が2か月かけて開発した新作も登場します。 『普段スイーツを食べない夫が絶賛していました』という声も多数いただいています。」
【価格(Price)】 「お一人様2,200円、2名様からのご利用で、お一人様1,980円とお得に。 LINE登録者様には、ドリンクのおかわり1杯無料のサービス付き。 ご予約は3日前までにこちらから。席数に限りがありますので、お早めにご検討くださいね。」
小売店向けテンプレート
【約束(Promise)】 「お部屋の模様替えで、毎日の気分も一新してみませんか? 新入荷の『北欧風クッションカバー』は、取り換えるだけでお部屋の印象がガラリと変わる魔法のアイテム。 朝起きるのが楽しみになる、そんな心地よい空間づくりのお手伝いをします。」
【証明(Proof)】 「先週の店頭販売では、初日に半数が完売!『色の組み合わせが絶妙』『肌触りが気持ちいい』と大好評いただいています。 インテリアコーディネーターの監修で、どんなお部屋にも合わせやすいデザインを厳選しました。 リピートで2個目、3個目をお買い求めくださるお客様も多いんですよ。」
【価格(Price)】 「1点2,750円、2点以上で1点につき2,200円。 LINE読者様限定で、今週末までに購入いただくと、同シリーズのミニタオルをプレゼント。 店頭でもオンラインでもお買い求めいただけます。 数量限定ですが、気に入ったものをじっくり選んでくださいね。」
いかがでしょうか?どの例も「約束→証明→価格」の流れで、自然と読み進められますね。
まとめ:あなただけの3P文章を作る方法
さて、今日は「3Pの公式」について詳しくお伝えしました。
この公式を使えば、誰でも心に響く文章が書けるようになります。
最後に、あなただけの3P文章を作るためのステップをまとめておきます。
STEP1: お客様が本当に望んでいることを考える 商品やサービスの「機能」ではなく、それによって得られる「変化」や「喜び」を考えましょう。
STEP2: 約束を具体的に言語化する 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して、具体的に書きましょう。
STEP3: 信頼できる証明を用意する 実際の体験談や数字、第三者の声など、信頼できる証拠を集めましょう。
STEP4: 負担の少ない行動を提案する いきなり高額な買い物を勧めるのではなく、まずは「見に来てください」「質問してください」という小さな行動から始めましょう。
STEP5: テンプレートをカスタマイズする 今回ご紹介したテンプレートをベースに、あなたのお店やサービスの特徴を入れて、オリジナルの文章を作りましょう。
文章力に自信がなくても大丈夫。「3Pの公式」という型があれば、初めてでもお客様の心に響く文章が書けるようになります。
次回は、この3Pの公式の最初のステップ「約束(Promise)」について、さらに詳しく掘り下げていきます。効果的な約束を作る5つの法則をお伝えしますので、どうぞお楽しみに!
【次回予告】 第3回「LINE開封率3倍!コピーライティングのコツと約束文の作り方」では、お客様の心をつかむ「約束」の作り方を、さらに詳しくご紹介します。具体例とともに、業種別の約束文の作り方もお伝えしますので、お見逃しなく!