私はこれまで20年以上、健康麻雀店を経営してきました。その中で数え切れないほどの経営者の方とお話しする機会がありましたが、多くの方が口にされるのは「一生懸命接客しているのに、なかなか売上が上がらない」という悩みです。
LINE公式アカウントの友だちが50人から300人ほどいて、月に1回か2回配信しているけれど、お客様からの反応は正直なところ薄い。
「もっと積極的に売り込むべきなのか」「でも嫌がられたらどうしよう」そんな葛藤を抱えている方がとても多いのです。
実は私自身、この疑問の答えを見つけたのは、お客様として他の店舗を利用した時の体験からでした。それは自宅のエアコンを買い替えようとした時のことです。15年ほど使っていたリビングのエアコンの調子が悪くなり、夏を前にして急遽新しいものを探すことになりました。
最初に訪れた大手家電量販店では、担当の店員さんが様々なエアコンの性能や機能を詳しく説明してくれました。省エネ性能、冷房能力、最新の機能など、確かに情報は豊富でした。カタログもたくさん渡してくれて、各メーカーの特徴も教えてくれました。しかし、結局その日は何も決められずに店を出ることになりました。
なぜだと思いますか?
その後、妻の勧めで訪れた小さな地域密着型の電器店で起きたことが、私の「売上を上げる接客」に対する考えを根本から変えました。
この体験から見えてきたのは、多くの経営者が信じている「売上を上げる接客の常識」が、実は大きな間違いだったということです。特に真面目で一生懸命な経営者ほど、この罠にはまってしまうのです。
真面目な経営者ほど陥る「売上を上げる接客」の罠
なぜ一生懸命な接客が裏目に出るのか
私が最初の家電量販店で体験したのは、まさに「一生懸命な接客」でした。店員さんは各メーカーの最新機種の特徴を詳しく説明してくれて、省エネ性能の数値、冷房能力の違い、付加機能の比較など、技術的な情報は完璧でした。価格帯も様々な選択肢を提示してくれました。
しかし、私は最後まで「で、結局どれを選べばいいのか」が分からなかったのです。
店員さんは商品の説明は上手でしたが、私が本当に困っていたこと、つまり「築15年の家で、家族3人暮らしの我が家には、どの程度の性能があれば十分なのか」「リビングの間取りや日当たりを考慮すると、どれが最適なのか」「高齢の母も同居しているので、操作の簡単さも重要だが、どれを選べばいいのか」については、ほとんどアドバイスがありませんでした。
これは多くの店舗で起きていることです。美容サロンで「このコースとあのコースがあります」と説明されても、お客様は「自分の肌の状態にはどちらが合うのか」が分からない。
整体院で「こんな施術があります」と紹介されても、「自分の症状にはどれが効果的なのか」が判断できない。飲食店で「おすすめはこちらです」と言われても、「今日の自分の気分や体調に合うのはどれなのか」が見えてこない。
私たち経営者は商品やサービスのプロです。だからこそ、ついつい商品の良さを伝えることに集中してしまいます。しかし、お客様が本当に困っているのは「商品の良さが分からないこと」ではありません。「自分に合った選択ができないこと」なのです。
お客様が感じる「売り込まれている」不快感の正体
もう一つ、私がその大手家電量販店で感じたのは、微妙な「売り込まれている感」でした。店員さんは決して押し売りをしているわけではありません。むしろ丁寧で親切でした。それなのに、なぜか「売り込まれている」と感じてしまったのです。
後で考えてみると、その理由が分かりました。店員さんとのやり取りが、すべて「商品を売るため」に組み立てられていたからです。私の質問に対する答えも、商品の良さを伝えるための情報ばかり。私が「予算内で失敗したくない」「家族みんなが使いやすいものを」と迷っていることに対して、共感してくれる言葉はありませんでした。
「このモデルは人気です」「今なら工事費込みでお得です」「省エネで電気代が安くなります」。どれも事実なのでしょうが、私の心配事には答えてくれていませんでした。
これは現代のお客様が最も敏感に感じ取ることです。お客様は「この人は私のことを思ってくれているのか、それとも売ることしか考えていないのか」を瞬時に判断します。そして一度「売り込まれている」と感じると、どんなに良い商品でも心の壁を作ってしまうのです。
特にLINE配信において、この傾向は顕著に現れます。新商品の案内、セール情報、キャンペーンのお知らせ。これらの配信を受け取ったお客様が「また売り込みか」と感じる瞬間に、信頼関係にひびが入ってしまいます。
真心と売上の間で揺れる経営者の心理
私自身、経営を始めた頃は本当にこの問題で悩みました。お客様に喜んでもらいたいという真心と、事業を続けるために必要な売上。この両方を実現したいのに、どうしても両立できないと感じていたのです。
「お客様のために」と思って一生懸命接客すればするほど、なぜか距離を感じる。かといって、売上のことを考えすぎると、今度は自分自身が嫌になってしまう。多くの経営者が経験するジレンマです。
特に以下のような状況で、この葛藤は深刻になります:
- お客様が「検討します」と言って帰られた時
 - せっかく来店されたのに、何も購入せずに帰られた時
 - LINE配信をしても、既読スルーが続く時
 - 新しいサービスを案内しても、反応がない時
 - リピート率が思うように上がらない時
 
「もっと積極的に勧めるべきなのか」「でも嫌がられたらどうしよう」この堂々巡りから抜け出せずにいる経営者の方を、私は数え切れないほど見てきました。しかし、この問題の解決策は、意外なところにあったのです。
顧客が本当に求めているのは「商品」ではなく「安心」だった
地域の電器店で起きた「心理的な安心」の体験
大手家電量販店を出た私たちは、正直なところがっかりしていました。せっかく時間をかけて見に行ったのに、結局どれを選べばいいのか分からないまま。妻が「近所の電器店も見てみましょう」と提案してくれたので、半ば諦めの気持ちで小さな地域密着型の電器店を訪れました。
その小さな店も、商品の数はそれなりに豊富でした。ということは、また同じように「選択の混乱」に陥ってしまうのかな、と正直不安でした。しかし、そこで起きたことは、私の予想を完全に裏切るものでした。
店主らしき男性が近づいてきて、最初に言った言葉は商品の説明ではありませんでした。「今お使いのエアコンは、どのくらいの期間使われていますか?」という質問だったのです。
私たちが「15年ほどです」と答えると、「それは長く大切に使われましたね。買い替えを考えられたきっかけは何ですか?」と続けて聞いてくれました。冷房の効きが悪くなったこと、電気代が気になること、高齢の母も使うので操作が簡単なものがいいことなどを話すうちに、気づいたら商品選びがとても楽になっていました。
なぜ二番目の店で購入を決めたのか
その電器店の店主が素晴らしかったのは、私たちの話をじっくり聞いてから、「それでしたら、こちらの2つから選ばれることをおすすめします」と、無数にある選択肢を具体的な2つに絞ってくれたことです。
しかも、ただ絞るだけではありませんでした。なぜその2つなのか、それぞれの特徴は何か、私たちの生活スタイルに合うのはどちらかを、とても分かりやすく説明してくれました。
「お母様がご一緒でしたら、こちらの方がリモコンの文字が大きくて操作しやすいですね」「このお部屋の広さでしたら、こちらの性能で十分です。上位機種にしても、実際の効果はあまり感じられないかもしれません」
こうした説明を聞いているうちに、私たちは「この人は本当に私たちのことを考えてくれている」と感じました。結果として、安心してその中の一つを選ぶことができました。価格は大手店より少し高かったかもしれませんが、全く気になりませんでした。なぜなら、その価格差以上の「安心感」を得ることができたからです。
お客様が店員に期待する本当の役割
この体験から分かったのは、お客様が商品やサービスを購入する時に最も重視しているのは、商品そのものの良さではなく「正しい選択ができるという安心感」だということです。
多くの経営者は、接客の目的を「商品の良さを伝えること」だと考えています。しかし、お客様が本当に期待しているのは「自分に合った選択ができるよう支援してもらうこと」です。
美容サロンのお客様は、「そのコースの効果」を知りたいのではありません。「自分の肌の状態に、今どのケアが必要なのか」を知りたいのです。
整体院のお客様は、「その施術の特徴」ではなく「今の自分の体の状態を改善するには、どのアプローチが最適なのか」を求めています。
カフェのお客様でさえ、「今日のおすすめメニュー」よりも「今の自分の気分や体調に合う、心地よい時間を過ごせる選択肢」を探しているのです。
つまり、私たちが提供すべきなのは以下のような支援です:
- お客様の現在の状況や悩みを理解すること
 - 数ある選択肢の中から、そのお客様に最適なものを見つけること
 - 選択の根拠を分かりやすく説明すること
 - お客様が安心して決断できる環境を作ること
 - 購入後も継続的にサポートしていくこと
 
この「支援」の考え方は、店舗での対面接客だけでなく、LINE配信においても同じように重要です。売り込みの配信ではなく、お客様の課題解決を支援する配信。新商品の案内ではなく、お客様の状況に合わせた提案。一方的な情報発信ではなく、お客様に寄り添うコミュニケーション。
このアプローチの効果は、科学的にも証明されています。
「売ろうとしない」店が選ばれる科学的根拠
人は「売られる」ことを本能的に嫌う理由
心理学の研究によると、人間は「自分で選択したい」という欲求を強く持っています。これを「自己決定理論」と呼びますが、この欲求が脅かされると、人は無意識に抵抗反応を示すのです。
例えば、エステサロンで「このコースがおすすめです」と強く勧められると、お客様の心の中では「なぜこの人は私にこれを選ばせようとするのだろう」という疑問が生まれます。その瞬間、お客様の関心は商品の良さから「この人の意図」に移ってしまうのです。
逆に「お客様の肌の状態を拝見すると、いくつか選択肢があります。一緒に考えてみませんか?」というアプローチなら、お客様は「自分で選択している」と感じることができます。実際には店側が選択肢を用意しているのですが、お客様は自分の意思で決めていると感じるのです。
これは行動経済学で「選択の錯覚」と呼ばれる現象です。人は自分で選んだと感じるものに対して、より高い価値を感じ、より強い愛着を持つのです。
信頼関係が購買意欲を高めるメカニズム
もう一つ重要な心理的メカニズムがあります。それは「信頼関係の相互性」です。お客様が「この人は私のことを本当に考えてくれている」と感じた時、お客様も「この人の役に立ちたい」と思うようになります。
小さなネイルサロンの例を挙げてみましょう。お客様が「今度結婚式があるんです」と話された時、多くのサロンは「ブライダルネイルコースがあります」と商品を案内するでしょう。しかし、信頼関係を重視するサロンは違います。
「おめでとうございます!いつ頃のご予定ですか?ドレスはもう決まっていらっしゃいますか?」とお客様の状況を詳しく聞いた上で、「それでしたら、○週間前にベースケアをして、前日に仕上げをするスケジュールがおすすめです」といった提案をします。
商品の販売ではなく、お客様の大切な日を成功させるための支援。この違いがお客様に伝わった時、お客様は「このサロンに任せたい」と感じるのです。そして結果的に、商品を積極的に売り込んだ場合よりも高い売上につながることが多いのです。
支援を受けた顧客が生涯顧客になる心理
最も興味深いのは、支援を受けたお客様の行動パターンです。研究によると、「売り込まれて購入した顧客」と「支援されて購入した顧客」では、その後の行動に大きな違いが現れます。
支援されて購入した顧客の特徴:
- リピート率が約3倍高い
 - 紹介・口コミ率が約5倍高い
 - 価格に対する満足度が約2倍高い
 - クレーム・トラブル率が約1/5に減少
 - 長期的な利用継続率が約4倍高い
 
なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。それは、支援を受けたお客様は「購入した商品・サービス」ではなく「その店舗との関係」に価値を感じているからです。
商品は他の店舗でも提供されるかもしれません。しかし、「自分のことを理解してくれて、最適な選択を支援してくれる関係」は、その店舗でしか得られない唯一無二の価値です。
この「関係性の価値」は、価格競争に巻き込まれることもありません。なぜなら、お客様にとって「この店舗でなければ得られない安心感」は、価格で比較できないものだからです。
つまり、「売ろうとしない」アプローチは、単なる販売テクニックではありません。持続可能で安定した経営基盤を築くための、根本的な経営戦略なのです。
支援型接客で変わる顧客との関係性
商品説明から課題解決支援への意識転換
私が経営する健康麻雀店でも、この「支援型接客」を意識するようになってから、お客様との関係が劇的に変わりました。以前は「健康麻雀の効果」や「施設の特徴」を一生懸命説明していましたが、今は違います。
初めて来店されたお客様には、まず「普段はどのような趣味をお持ちですか?」「お仲間と過ごす時間で、どのような時が一番楽しいですか?」といった質問から始めます。その方の生活スタイルや価値観を理解した上で、「それでしたら、こちらの過ごし方がお楽しみいただけるかもしれません」と提案するのです。
この変化は、他の業種でも同じように適用できます。
美容サロンなら:
「このトリートメントの効果は…」→「最近、髪に関してお困りのことはありますか?」
整体院なら:
「当院の施術方法は…」→「普段、どのような時に体の不調を感じられますか?」
飲食店なら:
「本日のおすすめは…」→「今日はどのような気分でお食事されたいですか?」
このように、商品・サービスの説明から始めるのではなく、お客様の状況や気持ちを理解することから始める。この小さな変化が、お客様との関係性を根本的に変えるのです。
質問力で引き出す顧客の本当のニーズ
支援型接客で最も重要なスキルは「質問力」です。ただし、ここで言う質問は、商品を売るための誘導尋問ではありません。お客様の本当のニーズを理解するための、心からの関心に基づいた質問です。
効果的な質問の例:
表面的な質問(改善前)
- 「どちらのコースにされますか?」
 - 「ご予算はどのくらいでしょうか?」
 - 「いつまでに必要ですか?」
 
本質的な質問(改善後)
- 「今回、○○をお考えになったきっかけは何ですか?」
 - 「理想的な結果は、どのような状態ですか?」
 - 「過去に似たようなことで、うまくいった経験はありますか?」
 
私がよく使う質問の中で、特に効果的なのは「○○について、一番気になっていることは何ですか?」という質問です。この質問によって、お客様が表面的には言葉にしていない、本当の悩みや不安を聞くことができます。
例えば、エステサロンで「痩身コースについて、一番気になっていることは何ですか?」と聞くと、お客様は「効果があるかどうか」「痛くないか」「続けられるか」など、本音の不安を話してくれます。これらの不安に一つ一つ寄り添うことで、お客様は「この人になら相談できる」と感じてくれるのです。
断られても感謝される接客の秘密
支援型接客の最も素晴らしい点は、たとえお客様が購入を見送られても、感謝されることです。これは一見矛盾しているように思えますが、実際によく起こることなのです。
先日、私のところにこんなお客様がいらっしゃいました。60代の女性で、「友人に勧められて来てみたけれど、麻雀は全くの初心者で不安」とおっしゃっていました。
お話を伺うと、その方は最近お仕事を退職されて、新しい趣味を探していらっしゃるとのこと。しかし、麻雀には「賭け事」のイメージがあって、正直なところ抵抗感もお持ちでした。
私は無理に入会を勧めることはしませんでした。その代わりに、健康麻雀とは何か、どのような方が楽しんでいらっしゃるか、他にはどのような趣味の選択肢があるかなど、その方の趣味探しそのものをお手伝いしました。
結果的に、その方は「今回は入会を見送らせていただきます」とおっしゃいました。しかし、帰り際に「とても親切に相談に乗っていただいて、ありがとうございました。また何かありましたら、相談させてください」と言ってくださったのです。
この方は3ヶ月後、お友達を2名連れて再度来店してくださいました。「やっぱり麻雀を始めてみたくなりました。その時に、こちらでお話しいただいたことを思い出して」とのことでした。
つまり、支援型接客は短期的な売上だけを考えるものではありません。お客様との長期的な信頼関係を築き、最終的により大きな価値を生み出すアプローチなのです。
LINE配信で実践する支援型コミュニケーション術
売り込み配信から支援配信への転換方法
ここまでの話を「なるほど、対面接客では分かった。でも、LINE配信でどうやって支援型のコミュニケーションを実現すればいいのか」と思われる方も多いでしょう。実は、LINE配信こそ支援型コミュニケーションの真価を発揮できる場なのです。
従来の配信(売り込み型):
- 「新メニューが登場しました!ぜひご利用ください」
 - 「○月○日まで20%OFF!お早めにご予約を」
 - 「おすすめコースをご案内します」
 
支援型配信への転換:
- 「季節の変わり目、肌の調子はいかがですか?この時期によくある肌トラブルと対処法をご紹介します」
 - 「最近、肩こりでお悩みの方が増えています。簡単にできるセルフケア方法をお伝えしますね」
 - 「新生活が始まって1ヶ月。疲れが溜まっていませんか?リフレッシュできる過ごし方をいくつかご提案します」
 
この違いに気づいていただけるでしょうか。支援型配信は、商品やサービスの案内ではなく、お客様の生活に寄り添った情報提供から始まります。そして、その情報が役立つと感じたお客様が、自然に「相談したい」「利用したい」と思ってくださるのです。
お客様の困りごとに寄り添うメッセージの作り方
支援型LINE配信を作成する時のポイントをご紹介しましょう:
1. 季節や時期に合わせた困りごとを想像する
- 春:新生活のストレス、花粉症、季節の変わり目の体調不良
 - 夏:紫外線対策、夏バテ、エアコンによる体の冷え
 - 秋:乾燥対策、夏の疲れ、体調の変化
 - 冬:寒さ対策、年末年始の疲れ、運動不足
 
2. お客様の立場で「今、何に困っているか」を考える 美容サロンの場合:
- 「マスク生活で肌荒れが気になる」
 - 「在宅ワークで顔のたるみが心配」
 - 「忙しくて自分のケアができない」
 
整体院の場合:
- 「デスクワークで肩こりがひどい」
 - 「運動不足で体が重い」
 - 「疲れが取れにくくなった」
 
3. 解決策を商品案内ではなく、生活アドバイスから始める
×「肩こり解消マッサージはいかがですか?」 
○「肩こり解消に効果的な簡単ストレッチをご紹介します。まず、両手を上に上げて…」
この流れで配信を作ると、お客様は「売り込まれている」のではなく「有益な情報をもらっている」と感じてくれます。そして、その情報が実際に役立つと、「この店舗の人は私のことを考えてくれている」という信頼関係が生まれるのです。
自然にリピートが生まれるフォローアップ術
支援型配信の最も優れた点は、自然なフォローアップの流れを作れることです。商品を売り込む配信では、フォローアップが「追い売り」になってしまいがちですが、支援型配信なら「継続的な支援」として受け取ってもらえます。
フォローアップ配信の例:
初回配信(情報提供) 「デスクワークの方必見!肩こり解消の簡単ストレッチ3選」
フォローアップ配信(体験の共有)
「先日お伝えしたストレッチ、試していただけましたか?効果を感じられた方、うまくできなかった方、どちらもお気軽に教えてくださいね」
さらなるフォローアップ(深い支援の提案)
「ストレッチでも改善しない頑固な肩こりには、根本的な原因があることも。もし1週間続けても変化を感じられない場合は、一度ご相談ください」
このような流れで配信することで、お客様は「押し売りされている」のではなく「継続的にケアしてもらっている」と感じます。そして、本当に困った時に「あの店舗に相談してみよう」と思ってくださるのです。
重要なのは、この一連の配信において、商品やサービスの直接的な宣伝は最小限に留めることです。メインはあくまでお客様の課題解決。商品・サービスは、その解決策の一つの選択肢として提示するだけです。
この方法で配信を続けると、以下のような変化が現れます:
- 配信の開封率が向上する
 - 返信やコメントが増える
 - 「相談したい」という連絡が増える
 - 自然にリピート予約が入るようになる
 - お客様から友人を紹介してもらえるようになる
 
つまり、「売ろうとしない」配信が、結果的に最も効果的な集客・売上向上の手段となるのです。
あなたらしい支援型接客で築く信頼の未来
今日から始められる小さな一歩
ここまでお読みいただいて、「支援型接客の重要性は分かったけれど、どこから始めればいいのだろう」と思われる方もいらっしゃるでしょう。大丈夫です。支援型接客は、今日からでも、小さな変化から始めることができます。
今日から実践できること:
- 質問を一つ変えてみる
- 従来:「何かお探しですか?」
 - 支援型:「今日は何かお困りのことがあってお越しいただいたのですか?」
 
 - LINE配信の書き出しを変えてみる
- 従来:「新サービスのご案内です」
 - 支援型:「最近、○○でお困りの方が増えています」
 
 - お客様の言葉を繰り返してみる
- お客様:「最近疲れやすくて…」
 - あなた:「疲れやすくて、お辛いですね」
 
 
この3つの小さな変化だけでも、お客様との関係性は確実に変わります。大切なのは、完璧を目指すことではなく、「お客様に寄り添う気持ち」を行動で示すことです。
1週間で取り組めること:
- お客様との会話で、商品説明をする前に必ず状況を聞く
 - LINE配信を1回、お役立ち情報から始めてみる
 - 来店されたお客様に「前回お話しいただいた○○は、その後いかがですか?」と声をかけてみる
 - 帰り際に「何かお困りのことがあれば、いつでもご連絡ください」と伝える
 
支援型接客が生み出す持続可能な経営
私が20年以上経営を続けてきて確信していることは、支援型接客は一時的な売上向上テクニックではなく、持続可能な経営基盤を築く根本的なアプローチだということです。
価格競争に巻き込まれることなく、お客様から選ばれ続ける店舗の共通点は、すべて「お客様との信頼関係」にあります。そして、その信頼関係は一朝一夕には築けません。日々の小さな積み重ねの中で、「この店舗は私のことを本当に考えてくれている」と感じてもらえた時に、初めて生まれるものです。
支援型接客を続けることで得られるもの:
- 安定したリピート率:価格ではなく関係性で選ばれるため
 - 質の高い口コミ・紹介:満足度の高いお客様からの自然な紹介
 - 価格競争からの脱却:独自の価値提供により適正価格を維持
 - スタッフのモチベーション向上:「売り込み」ではなく「支援」という価値ある仕事
 - 経営の安定性:外部環境の変化に左右されない顧客基盤
 
これらの効果は、短期間で現れるものではありません。しかし、一度築かれた信頼関係は、あなたの事業を長期にわたって支える大きな財産となります。
あなたの誠実さが最大の武器になる理由
最後に、私がすべての経営者の方にお伝えしたいことがあります。それは、「あなたがお客様のことを思う誠実な気持ちこそが、最も強力な競争力になる」ということです。
大手チェーン店にはない個人店の魅力は何でしょうか。それは、経営者やスタッフ一人一人の「人間性」です。お客様一人一人の顔を覚えて、その方の状況に合わせたサービスを提供できること。困った時に真剣に相談に乗ってもらえること。長い関係の中で、まるで友人のような信頼関係を築けること。
これらはすべて、あなたの誠実さがあってこそ実現できるものです。そして、支援型接客は、その誠実さを最も効果的に表現する方法なのです。
「売ろうとしない」アプローチは、決して売上を軽視するものではありません。むしろ、お客様との真の信頼関係を築くことで、長期的により大きな成果を生み出す経営戦略です。
あなたがこれまで大切にしてきた「お客様思い」の心と、効果的なビジネス手法。この両方を実現できるのが、支援型接客なのです。
明日から、いえ、今日から。お客様との会話で、LINE配信で、小さな変化を始めてみてください。その積み重ねが、あなたとお客様の関係を、そしてあなたの事業を、きっとより良いものに変えてくれるはずです。
あなたの誠実な気持ちが、お客様に伝わる日を心から楽しみにしています。
