LINE公式アカウントの友だち登録数は150人。月に1回か2回、割引クーポンを送るものの、返信はほとんどない。そんな状況に、あなたも心当たりがあるのではないでしょうか。
私は健康麻雀店を22年間経営してきましたが、実は文章を書くのが大の苦手でした。「何を書けばいいのかわからない」「お客様に迷惑がられたらどうしよう」そんな不安を抱えながらも、ある「魔法の一言」を発見してから、すべてが変わったのです。
創業から20年以上経った今でも、最初からのお客様が継続して通ってくださっています。しかも彼らは私の拙い文章のLINE配信を楽しみにしてくれているのです。この記事では、文章が苦手だった私がどのようにしてお客様の心を掴むメッセージを書けるようになったのか、その秘密をお話しします。
文章が苦手だった店主が22年間愛され続ける理由
創業当時の私が抱えていた同じ悩み
開業前の私は、小物制作事業やトラック運転手など様々な仕事を掛け持ちしていました。どの仕事でも「人と話すこと」は得意でしたが、「文章で伝えること」は本当に苦手だったのです。
事業を始めた当初、お客様への案内文を書くのに丸一日かかることもありました。たった3行のお知らせを書くのに、何度も書き直し、妻に見せては「これで大丈夫かな」と不安になる毎日でした。
あなたも同じような経験をされたことがあるのではないでしょうか。
- 文章を書き始めても途中で手が止まってしまう
- 書いた文章を読み返すと何だか硬くて冷たい印象
- お客様にどう思われるか不安で配信ボタンを押せない
お客様に支えられて気づいた「伝える」ことの本質
転機が訪れたのは、開業から3年目のことでした。常連のお客様を車でお送りした時、その方が車の中でポツリと言った一言が私の心に深く刺さったのです。
「今までやった麻雀の中で一番楽しかった」
その瞬間、私は気づきました。お客様が求めているのは、完璧な文章でも、立派な言葉でもないということを。私が一生懸命にお客様を喜ばせようとする「想い」こそが、何より大切だったのです。
美容サロンを経営する友人も、同じような体験をしていました。開業当初は「施術メニューのご案内」「お得なキャンペーン情報」といった硬い文章ばかり送っていたそうです。ところが、あるお客様が体調不良でキャンセルされた際、「お身体の調子はいかがですか。無理せず、元気になられたらまたお待ちしています」という自然な言葉をLINEで送ったところ、そのお客様から「そんな風に気にかけてもらえて嬉しかった」という返信が来たそうです。
文章力より大切な「想いを込める」力
その日以来、私は文章の「うまさ」を追求することをやめました。代わりに、目の前にお客様がいるかのように、心を込めて書くことに集中したのです。
すると不思議なことが起こりました。私の拙い文章に、お客様が返信をくださるようになったのです。
- 「今日も楽しかったです。ありがとうございました」
- 「河原さんのお店のおかげで規則的な生活ができています」
- 「次回も楽しみにしています」
文章の技術を磨くより、お客様への想いを素直に表現することの方が、はるかに心に響くということを実感しました。
リピート率を上げる「魔法の一言」の正体とは
常連客を20年繋ぎ止める河原店主の口癖
私の「魔法の一言」とは、実はとてもシンプルなものです。それは、お客様に対して「いつもありがとうございます」ではなく、こう言うことでした。
「○○さんがいてくださるから、私たちも頑張れます」
この一言に込められているのは、お客様への感謝だけではありません。「あなたは私たちにとって特別な存在です」というメッセージが含まれているのです。
整体院を経営する知人は、この考え方を応用して「田中さんの笑顔を見ると、今日も一日頑張ろうと思えます」という言葉をお客様にお伝えするようになりました。その結果、お客様との関係がより深まり、定期的な通院に繋がったそうです。
「魔法の一言」が生まれた感動的なエピソード
この言葉が生まれたきっかけは、ある高齢のお客様とのやり取りでした。その方は毎週決まった曜日に来店され、いつも「ありがとう」と言ってくださる方でした。
ある日、その方が体調を崩されて2週間ほどお見えにならなかったことがありました。久しぶりに来店された時、私は心から「お元気になられて本当に良かったです。○○さんがいらっしゃらないと、お店の雰囲気も寂しくなってしまうんです」とお伝えしました。
すると、その方の目に涙が浮かんだのです。「こんな歳になって、誰かに必要とされているなんて思わなかった」そうおっしゃったのです。
その瞬間、私は理解しました。人は誰でも「自分が誰かの役に立っている」「必要とされている」と感じたいということを。
なぜその一言が顧客の心を掴むのか心理学的解説
人間には「承認欲求」という基本的な欲求があります。これは「自分の存在を認めてもらいたい」「価値のある人間だと思われたい」という願望です。
一般的な接客では「お客様に感謝する」という一方向のコミュニケーションになりがちです。しかし、私の「魔法の一言」は違います。
従来のアプローチ:
- 「いつもありがとうございます」
- 「またのご来店をお待ちしています」
- 「お疲れ様でした」
私のアプローチ:
- 「○○さんがいてくださるから頑張れます」
- 「○○さんの笑顔を見ると元気になります」
- 「○○さんのおかげで今日も良い一日でした」
この違いがお分かりいただけるでしょうか。後者は、お客様を「価値を提供してくれる存在」として認識していることが伝わります。これにより、お客様は単なる「サービスを受ける人」から「お店にとって大切なパートナー」へと立場が変わるのです。
健康麻雀店の成功法則を他業種に応用する秘訣
業種を超えて通用する顧客心理の普遍的法則
私の麻雀店で効果的だった方法は、実は業種を問わず応用できる普遍的な心理法則に基づいています。それは「お客様を追いかけすぎない」ということです。
多くの店舗経営者が犯しがちな間違いがあります。それは「お客様に来てもらおう」「買ってもらおう」と必死になりすぎることです。この姿勢が、実はお客様を遠ざけてしまうのです。
カフェを経営する友人の事例をご紹介しましょう。以前は「新メニューが登場しました!ぜひお試しください!」「今なら10%オフです!」といった攻撃的な配信ばかりしていました。しかし、私のアドバイスで「最近寒くなってきましたね。温かいコーヒーが美味しい季節です。皆さんはどんな風に温まっていますか?」という日常に寄り添ったメッセージに変えたところ、お客様からの返信が格段に増えたのです。
私の「お客様を褒める」哲学の応用術
私が常に心がけているのは、お客様の良いところを見つけて褒めることです。これは技術ではなく、心からの気持ちです。
麻雀というゲームの特性上、勝ち負けがはっきりします。負けて悔しい思いをされるお客様もいらっしゃいます。そんな時、私は必ずその方の素晴らしいプレーを見つけて褒めます。
「今日の○○さんの判断は本当に素晴らしかったです」
「○○さんの集中力、いつも感心しています」
この姿勢は、他の業種でも十分応用できます。
美容サロンなら:
- 「今日の○○さん、いつも以上に輝いて見えます」
- 「○○さんの前向きな姿勢、いつも元気をもらっています」
小売店なら:
- 「○○さんのセンス、いつも参考にさせていただいています」
- 「○○さんが選ばれる商品は、やはり良いものばかりですね」
あなたの店舗で実践できる具体的アプローチ
この「褒める」アプローチをLINE配信に活用する方法をご紹介します。重要なのは、一方的に褒めるのではなく、お客様との関係性の中で自然に生まれる褒め言葉を使うことです。
実践可能な褒めポイントの見つけ方:
- お客様の選択を褒める
- 来店のタイミング、選んだメニュー、服装の色など
- お客様の行動を褒める
- 質問の仕方、お店への気遣い、他のお客様への優しさなど
- お客様の成長を褒める
- 前回との変化、新しい挑戦、継続していることなど
私のお店では、お客様一人ひとりについて「今日の素敵なポイント」を必ず一つは見つけるようにしています。それをその場でお伝えすることもあれば、後日のLINE配信で触れることもあります。
LINE配信でリピート率を上げる「会話調メッセージ」の作り方
対面の温かさをLINE配信で再現する秘訣
対面での会話をLINE配信で再現するためには、いくつかのコツがあります。最も重要なのは「相手の顔を思い浮かべながら書く」ことです。
私がLINE配信を書く時は、必ず特定のお客様の顔を思い浮かべます。「田中さんにこのメッセージを送るとしたら、どんな言葉を使うだろう」と考えながら書くのです。
すると、自然と会話調の文章になります。
機械的な配信例: 「本日の営業時間は10時から22時までとなっております。皆様のご来店をお待ちしております。」
会話調の配信例: 「おはようございます。今日も良い天気ですね。10時からお店を開けていますので、お時間のある時にでもお立ち寄りください。」
この違いを感じていただけるでしょうか。後者の方が、実際に店主と話しているような温かみがあります。
顧客が「返信したくなる」会話調メッセージの型
お客様が思わず返信したくなるメッセージには、一定の型があります。これは私が長年の経験で発見したパターンです。
効果的なメッセージの構成:
- 季節や天気など共通の話題で始める
- 「今日は暖かいですね」「桜が咲き始めましたね」
- お客様への気遣いを表現する
- 「お忙しい日々をお過ごしかと思いますが」「お風邪など引いていませんか」
- お店からの情報を自然に織り込む
- 「そういえば」「ちなみに」「お時間のある時にでも」
- 質問や感想を求める形で終わる
- 「皆さんはいかがお過ごしですか」「何かご質問があればお気軽に」
実際の配信例: 「こんにちは。急に寒くなりましたが、皆さんお元気でしょうか。私は慌てて冬物を引っ張り出しました(笑)そういえば、今月から新しいサービスを始めることになりました。詳しくは次回お会いした時にお話ししますね。皆さんはどんな風に寒さ対策をされていますか?」
月1-2回の配信でも関係性を深める継続術
配信頻度が月1-2回でも、関係性を深めることは十分可能です。むしろ、量より質を重視することで、より深いつながりを築くことができます。
私が実践している継続のコツ:
配信のタイミング:
- 季節の変わり目
- 店舗に変化があった時
- お客様にとって特別な日(年末年始、ゴールデンウィークなど)
配信内容の工夫:
- 前回の配信からの時間の流れを意識する
- お客様の生活リズムに合わせた話題選び
- 一方的な情報提供ではなく、お客様の近況を気遣う内容
実際に私が送った配信で反響が大きかったものをご紹介します。
「皆さん、こんにちは。前回メッセージを送ってからもう1ヶ月も経つんですね。時間が経つのは本当に早いものです。その間、皆さんはどんな1ヶ月を過ごされましたか?私は相変わらず毎日お店に立っていますが、お客様お一人お一人の笑顔を見ていると、本当に幸せな気持ちになります。また今月もよろしくお願いします。」
このメッセージには、多くのお客様から返信をいただきました。技術的なことは何も書いていません。ただ、心からの気持ちを素直に表現しただけです。
「お客様のことだけ」を書く技術と継続のコツ
私が実践する「お客様観察」の方法
「お客様のことだけを書く」といっても、具体的に何を書けば良いのかわからない方も多いでしょう。私が実践している「お客様観察」の方法をお教えします。
私は毎日、お客様との会話の中で印象に残った言葉や表情をメモするようにしています。スマートフォンのメモ機能を使って、その場で記録することもあります。
記録している内容:
- お客様の趣味や関心事
- 最近の出来事(家族のこと、仕事のことなど)
- 体調や気分の変化
- お店に対する感想や要望
- 他のお客様との交流の様子
例えば、「Aさんは最近お孫さんが生まれたばかりで、とても嬉しそうに話されていた」「Bさんは腰の調子が良くなってきたと喜んでいた」といった情報です。
これらの情報をもとに、LINE配信では個別にお客様のことを気にかけているメッセージを送ります。もちろん、プライバシーに配慮して、名前を出したり具体的すぎる内容は避けます。
毎日の小さな積み重ねが生む大きな変化
お客様との関係性は、一日で築けるものではありません。毎日の小さな積み重ねが、やがて大きな信頼関係を生み出すのです。
私が実践している日常的な取り組み:
朝の準備時間(10分):
- 昨日のお客様とのやり取りを振り返る
- 今日来店予定のお客様のことを思い浮かべる
- 一人ひとりに合った声かけを考える
営業中の心がけ:
- お客様の話をしっかり聞く
- 小さな変化にも気づく
- 感謝の気持ちを具体的に伝える
営業後の整理(5分):
- 今日の印象的な出来事をメモする
- お客様からいただいた言葉を記録する
- 明日への改善点を考える
継続を楽にする「文章習慣」の作り方
文章を書くことを習慣化するためには、無理をしないことが一番です。私が実践している「楽に続ける」コツをご紹介します。
文章作成のルーティン:
- 時間を決める
- 毎日同じ時間に5分だけ文章を書く時間を作る
- 場所を決める
- いつも同じ場所で書く(私はお店のカウンターで書いています)
- 型を使う
- 「今日は〜でした」から始める固定パターンを作る
- 完璧を求めない
- 上手く書こうとせず、思ったことをそのまま書く
実際の例: 毎日営業後に、その日の出来事を3行だけメモする習慣を始めました。
「今日は雨でしたが、常連のCさんが『雨の日の方が落ち着く』とおっしゃっていました。確かに、雨音を聞きながらの麻雀も風情があります。明日は晴れの予定です。」
このような簡単なメモでも、続けていくうちに自然と文章を書くことに慣れていきます。そして、これらのメモがLINE配信のネタになるのです。
あなたの店舗が20年愛される未来への第一歩
河原から学ぶ愛される店舗の本質
22年間店舗を経営してきて、私が確信していることがあります。それは、愛される店舗には必ず「そこにいる人の温かい人柄」が反映されているということです。
高級な設備も、最新の技術も、確かに大切です。しかし、最終的にお客様の心を掴むのは「人としての魅力」なのです。
私のお店に20年以上通ってくださるお客様に、なぜ続けて来てくださるのかを聞いたことがあります。その答えは意外にもシンプルでした。
「河原さんがいるから」 「ここに来ると安心するから」 「いつも自分のことを気にかけてくれるから」
技術的なことや設備のことは、一切出てきませんでした。お客様が求めているのは「心の安らぎ」「人とのつながり」「自分を大切にしてくれる場所」だったのです。
今日から始められる「魔法の一言」実践法
明日からすぐに実践できる「魔法の一言」の使い方をご紹介します。難しく考える必要はありません。お客様への感謝の気持ちを、少し視点を変えて表現するだけです。
実践ステップ:
ステップ1:お客様の良いところを一つ見つける
- 今日来店されたお客様の中で、印象に残った方を思い浮かべる
- その方のどこが素敵だったかを具体的に考える
ステップ2:感謝の気持ちを「あなたがいてくれるから」形式で表現する
- 「○○さんのおかげで〜」
- 「○○さんがいてくれるから〜」
- 「○○さんの〜に、いつも元気をもらっています」
ステップ3:具体的な場面で実践する
- 会計時の一言として
- お見送りの時の言葉として
- LINE配信の中の一文として
実際の使用例:
会計時: 「田中さんの笑顔を見ると、今日も良い一日だったなと思えます」
お見送り時: 「佐藤さんがいつも温かく挨拶してくださるおかげで、お店の雰囲気も明るくなります」
LINE配信: 「いつも皆さんの優しさに支えられて、私たちも頑張ることができています」
22年後の理想の店舗を思い描いて
最後に、あなたに想像していただきたいことがあります。22年後のあなたの店舗は、どんな場所になっているでしょうか。
私は開業当初、ただ「お客様に来てもらいたい」「売上を上げたい」という気持ちでいっぱいでした。しかし今振り返ると、本当に大切だったのは「お客様との信頼関係」でした。
22年後の理想の店舗を思い描く時のポイント:
長期的な関係性:
- 20年以上通い続けてくれるお客様がいる
- お客様同士も仲良くなり、コミュニティが形成されている
- 家族ぐるみでのお付き合いができている
信頼の積み重ね:
- お客様が安心して通える場所になっている
- 困った時に相談できる存在になっている
- 人生の節目を一緒に喜んでくれる関係になっている
地域への貢献:
- 地域の人々の生活に欠かせない存在になっている
- 地域の活性化に貢献している
- 次の世代にも愛される店舗になっている
文章力は、これらの理想を実現するための強力なツールです。上手な文章を書くことが目的ではありません。お客様との心のつながりを築くことが本当の目的なのです。
今日から始めてください。完璧である必要はありません。大切なのは、お客様への想いを素直に言葉にすることです。
あなたの店舗も、きっと愛される場所になります。その第一歩を、今日踏み出してみませんか。
22年間の経営を通じて、私が学んだ最も大切なこと。それは「人の心は、技術ではなく、想いで動く」ということでした。あなたの想いが、きっとお客様の心に届くはずです。
